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向精神薬(こうせいしんやく、英: Psychoactive drug, Psychotropic)とは、中枢神経系に作用し、生物の精神活動に何らかの影響を与える薬物の総称です。
主として精神医学や精神薬理学の分野で、脳に対する作用の研究が行われている薬物であり、また精神科で用いられる精神科の薬、また薬物乱用と使用による害に懸念のあるタバコやアルコール、また法律上の定義である麻薬のような娯楽的な薬物(英語版)が含まれる。
top ●精神刺激薬 - コカイン、ニコチン、カフェイン、アンフェタミンやメタンフェタミンやメチルフェニデート、MDMA。
●抑制剤 - アルコール、ベンゾジアゼピン系、ヘロインやアヘンやモルヒネといったオピオイド系の薬物や大麻。
●幻覚剤 - LSD、シロシビン、メスカリン、DMT、ケタミン。
向精神薬にはさまざまな種類がありますが、ここでは鎮静剤、催眠剤、精神安定剤、抗不安剤について説明します。

1)鎮静剤
鎮静剤は本来、気持ちを安らげ、筋肉の緊張をほぐす薬効がありますが、医師の処方に従わずに乱用すると、一時的な快い気分の後に、舌がもつれる、足元がふらつく、知覚に異常を生じるなどの症状が現れてきます。また多量に摂取した場合には、呼吸器の機能を低下させ、昏睡から死に至ることもあります。
鎮静剤には依存性があり、一定期間使用し続けると耐性を生じます。薬の量が増えた後に、突然使用をやめると、不安、不眠、痙攣などの禁断症状を引き起こします。
また、妊娠中の人が鎮静剤を乱用すると、生まれた子供にも影響が起こり、生後しばらく後に禁断症状と同様の症状が現れることがあります。
また、先天的な障害を持つ子供、行動に異常のみられる子供が生まれることも報告されています。

2)催眠薬
催眠薬は、その名の通り、不眠症などの症状を持つ人に正常な眠りを与えるための薬です。この薬は心に落ち着きをもたらし、眠気を誘います。
しかし乱用の場合には眠りにはつかず、普段のままの行動を行ないます。すると、薬が効いている間の出来事はほとんど記憶に残らず、夢の中のような状態となりますが、こういった作用が脳などにどのような影響を与えるのかは定かではなく、たいへんな危険を心身にもたらすのです。
そのうえ過度に服用すると、脳の呼吸中枢を破壊して死に至ることもある、といわれています。
催眠薬の恐ろしさは、耐性にあります。ごく短期間に耐性が形成され、摂取量が急激に増えるので、いつのまにか致死量に達するほどの量を摂取してしまうことがあるのです。また、アルコールと共に摂取すると、強烈な抑制作用が起こり、昏睡や死亡の危険性もあります。
また、慢性的な乱用の副作用としては、正常な睡眠がとれない、めまい、ふらつき、精子の減少、奇形児の出産などの可能性があるとされています。

3)精神安定剤
この薬は主に分裂症などの精神病の治療に用いられます。正常な精神活動が認められない時に用いるものを、ごく普通の人が乱用すると、恐ろしい作用が現れてきます。
たとえば、一瞬にして頭の中が真っ白になって何も考えることができなくなるようなショック状態、言語不能、文字が書けない、などの極端な症状が現れることも報告されています。
また、薬によっては、脳内のドーパミンという物質の分泌を止めてしまうので、全身の筋肉がまともに動かなくなってしまうこともあります。また、行動異常や強迫観念などが起こることもあるようです。
また抗うつ剤として知られているような薬は、一時的に「超人的な気分」をもたらしますが、副作用もすさまじく、不眠、食欲不振、興奮、イライラ、情緒不安、性器萎縮などが起こります。
こういった副作用によって精神的依存が始まり、繰り返し摂取するようになっていきますが、耐性も強く、あっという間に最初の量では効果が得られなくなり、薬物への依存が始まります。

4)抗不安剤
トランキライザーの名で知られる抗不安剤は、一部のものを除いて、ほとんどが多大な副作用を持つ成分を含んでいます。乱用による摂取では、翌日にだるさや吐き気、手足のしびれ、眠気、脱力、疲労感、意識がもうろうとするなどの症状が現れてきます。
これらの薬は脅迫的な不安感にかられた時に服用するもので、一時的に安らかさや、気分が冴え渡るような感覚を与えてくれますが、あくまでも医師の処方が必要な薬です。正常な精神活動の人にとっては、その後の副作用により精神的依存を招く恐れのある危険な薬物となることを覚えておきましょう。

鎮痛剤の作用は少量のものならば気持ちを和らげ、筋肉をほぐしてくれますが、いくらか多めになると、舌がもつれたり、足元がふらついたり、知覚に異常を生じたりします。非常に多量を摂取したときには、呼吸器の機能を低下させ、昏睡から遂には死に至ることがあります。
鎮痛剤とアルコールとの併用はこの薬物の作用を相乗的に高めますので、それだけ危険性も大きくなります。
鎮痛剤は身体的にも精神的にも依存を生じます。
一定期間使用していると耐性を生じるので、いきおい、クスリの量が増えていきます。多量の鎮痛剤を常に使用していた人が、それを急に止めますと、不安、不眠、痙攣、さらには死に至るなどの禁断症状が生じます。
母親が妊娠中に鎮痛剤を使用しておりますと、生まれた子供にも依存性ができていることがあり、そうした場合は生後暫くして赤ん坊に禁断症状が現れます。先天性の障害や行動に異常のある子が産まれる危険性があります。