コカインは南米原産であるコカの葉から作られた強力な中毒性を持つ精神刺激薬です。 医療従事者が特定の外科手術用において局所麻酔として使用するといった正当な医療目的のために使用することは許されていますが、嗜好品としてのコカイン使用は違法です。街中に出回っているコカインは通常細かな白い結晶のパウダー状をしています。 |
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コカインは、運動および報酬の制御に関連する脳回路において化学伝達物質であるドーパミンのレベルを上昇させます。 通常、ドーパミンはいったん放出されたあと、放出した細胞に再度取り込まれ、神経細胞間のシグナルを遮断します。 しかし、コカインは、ドーパミンの再取り込みを妨げるので、神経細胞間に大量に蓄積し、正常な働きを停止させてしまいます。最終的に、報酬回路はコカインによるドーパミン過剰状態に適応し、反応が鈍くなってしまうので、薬物摂取行動が強化されてしまいます。 そして、以前と同じくらいの快感を得るために、または、つらい離脱症状を逃れるために、より多くの薬物を必要とするようになるのです。 短期的影響について コカイン使用が健康にもたらす短期的影響のは下記の通りです。 ●極度の高揚とエネルギーに満ちた感覚 ●精神的覚醒状態 ●視覚、聴覚、触覚の過敏性 ●易怒性 ●パラノイア ●他人への極端で不合理な不信感 コカインが単純な身体的および精神的作業能力の向上に役立つという人もいますが、正反対のことをいう人もいます。大量のコカイン使用は、奇異で、予測不可能で、暴力的な行動につながります。 コカインの効果は瞬時に現れ、数分から1時間も経つと消えます。どのくらい効果が持続し、どの程度強く感じるかは、使用方法によって異なります。 コカインの注射または喫煙は、鼻からの吸引に比べより素早く強い効果を得られますが、短時間しか持続しません。鼻から吸引する場合、15~30分間効果が持続しますが、喫煙の場合は、5~10分程度です。 長期的影響 コカイン使用が健康にもたらす長期的影響は、どのような方法で使用するかにもよりますが、下記の通りです。 ●鼻からの吸引:嗅覚障害、鼻血、鼻水、および嚥下障害 ●喫煙:咳、喘息、呼吸困難、肺炎など感染症罹患リスクの増大 ●経口摂取:血流の低下による重度の腸内環境悪化 ●針注射:HIV、C型肝炎、およびその他の血液感染、皮膚または軟部組織感染、静脈の瘢痕化または虚脱のリスク増大 注射針を使わずコカインを摂取している人でも、コカインによる判断力低下から、感染したパートナーとの危険な性行為に及びやすくなることで、HIV感染のリスクにさらされます。 コカイン使用がもたらすその他の長期的影響には、食欲低下による栄養失調や、長年の使用で発症する可能性があるパーキンソン病などの運動障害があります。さらに、多量摂取による易怒性、落ち着きのなさが報告されており、時には現実を見失い幻聴も伴うような重度の妄想症になる者もいます。 |
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通常、使用者はコカインパウダーを鼻で吸うか、歯茎にこすりつけます。 他にも粉末を溶解したものを注射したり、コカインとヘロインの組み合わせたスピードボールを注射する人もいます。もう一つの一般的な使用方法は、結晶固形物に加工されたコカイン(別名フリーベースコカイン)を吸引する方法です。 結晶は加熱され蒸気となり、肺に吸い込まれます。このタイプのコカインは、クラックと呼ばれ、加熱された際に出る結晶固形物が割れる音からきています。一部ではマリファナやたばこにクラックを振りかけタバコのように喫煙する人もいます。 コカイン常用者は、短期間に、繰り返し多量摂取することでハイな状態を保とうとすることがよくあります。 |
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コカインの使用が健康にもたらすその他の影響は下記の通りです。
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