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■児童・生徒の心を動かすことが重要


数字の変化を見ていただければわかるように、講義を聞くだけよりも、自分の考えを示し、それに基づいて少人数で討議をしてまとめることにより、生徒たちの内面に少なくない変化をもたらしていることがお分かり頂けると思います。

喫煙やシンナー、薬物を乱用するきっかけは、
 1)「友人からの誘い」が最も多いこと 
 2)乱用の誘いがあったときには、毅然と断る態度が大切なこと 
 3)普段の生活の中でも、状況によっては悪いことだと分かっていても、
   使わざるをえないような場面に遭遇することがあるかもしれないこと


喫煙や薬物乱用の誘いを受けるこのような場面では、助けてくれる人は誰もいません。
 ■「自分は知っている」という知識だけで、自分を守ることはできないこと。
 ■何か問題にぶつかったとき、周りに影響されることのないよう、自分自身を見つめ、
  自分で判断し、正しい行動ができるような力を付ける必要があること。
 ■そのような行動を身に付けるためには、授業で行ったように、みんなで意見を出し合って、
  話し合うことも重要であること。


小学校高学年から中学生までの学齢期は、発育・発達の過程にあり、身体的な基盤が作られるだけでなく、ひとりひとりの意思決定のあり方や価値基準、それぞれの生活習慣や行動が形成される時期です。このような時期に継続的な能動的学習を学年(年齢)に応じた内容で繰り返し続けることが、普段の実際の行動に結びついていき、ライフスキルを身につけていくことになります。 各学年のワークシートは、セルフエスティーム、身につけるべきライフスキルを意識して考え、討議できるものになっていると考えています。

■最後に

ここで紹介した授業を実施するには、準備や時間の確保を含めて学校側の協力、そしてクラス毎にチューターを揃えるなど多くの人的資源も必要になります。そして、講師側にもある程度のスキルが求められますが、実際に、私たちが行動を起こさなければ、子供たちの行動が変わるきっかけを作ることができません。 学校薬剤師だけではなく、青少年の薬物乱用防止指導に関わる多くの方々に参加をして頂くことが解決の糸口になるのではないでしょうか。

私が所属する八王子薬剤師会では、学校薬剤師のうち約40名の方々がお互いにこの活動に協力して、ここで紹介した小中学校での薬物乱用防止教育を実践しています。是非、思いを同じくする者同士が協力して、より一層効果のある薬物乱用防止教育の構築に携わってください。


喫煙・飲酒防止教室、薬物乱用防止教室を行う際には必ず「健康でよりよい人生を送るために」、「皆さんに必要なものは何か」というメッセージを込めて行っています。その思いを真摯に伝え、児童・生徒の心を動かすことが一次予防の重要な目的だと思っています。 今後も、皆さんと考察を重ねながら、より効果的な薬物乱用指導のあり方を模索していければと考えています。

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