このような形式の薬物乱用教育が、児童生徒たちにどのような変化をもたらすのかをアンケートに基づき解析した報告がありますので、その一部をご紹介します。
Table2に示したアンケートの内容は5項目にわたりますが、生徒の薬物乱用に対する認識と態度の変化の測定するために行った④、⑤の質問の結果をご紹介します。
まず、Table2の質問④,⑤は、講義後(SGD前)、SGD後(WS形式の授業終了後)の変化を測定したものです。
質問項目の「5時間目の講義(SGD後は「6時間目の話し合い」と置き換え)の前と比べて、薬物乱用について、いけないという気持ちが強くなったと思いますか。」に対して得られた回答について、講義後(SGD前)とSGD後とで比較した結果をFig.1に示します。「とても強くなった」と回答した生徒は、講義後(SGD前)で60.5%、SGD後で69.7%であり、SGD後の方が9.2%増加し、「どちらともいえない」は5.3%から0%となりました。「全く変わらない」と回答した生徒は、変化がありません。
次に、「5時間目の講義(「SGD後」の際には「6時間目の話し合い」と置き換えて記載)の前と比べて、薬物乱用に誘われた時に、断れる態度が身についたと思いますか。」という質問に対して得られた回答について、講義後(SGD前)とSGD後とで比較した結果をFig.2に示します。「とても身についた」と回答した生徒は、講義後(SGD前)で35.5%、SGD後で73.7%であり、SGD後では、講義後の約2倍に増加しました。一方、「どちらともいえない」は28.9%から2.6%に減少しています。「あまり身につかない」と回答した生徒は変化がありません。
Table3のアンケートです。Table3のアンケートは、SGDに対する生徒の受け止め方と授業に対する感想をSGD後(能動的学習終了後)に実施しました。
「今回、グループで話し合いをしたことについては、どうでしたか?」という質問に対して得られた回答について、Fig.3に示します。「色々な意見が聞けてよかった」が最も多く、75.3%、次いで「みんなで話し合うと、よく理解できた」が66.2%、「みんなで話し合うと、よい考えが出ると思った」が55.8%などとなりました。一方、「みんなで話し合うと大変なので、あまりやりたくないと思った」という否定的な意見は10.4%です。しかしながら、本項目のみを選択した生徒は2.6%であり、その他の生徒は有用性を認める項目も併せて選択しています。