l危険ドラッグの広がり
●平成16年頃、欧米において大麻と同等若しくはそれ以上の薬理作用が得られる「合成カンナビノイド系物質」を含有する植物片が「spice(スパイス)」等の商品名で流通。
●日本国内では平成20年頃から“規制を受けない「合法大麻」「脱法ドラッグ」”等として認知され、「お香」や「芳香剤」といった名目で街頭の店舗で販売され急速に広がった。
●覚醒剤と類似の興奮作用を有する麻薬カチノン類似物質や強烈な幻覚作用を有する麻薬PCP類似物質等を含む製品も現れ、さらにはこれらを混合した製品も流通。
危険ドラッグの拡大にあわせ使用者による交通事故や、危険
l危険ドラッグ徹底排除
●平成25年3月、類似物質をまとめて規制する「包括指定」が旧薬事法に導入。同年10月には麻薬取締官への指定薬物に関する取締権限の付与。さらに翌平成26年4月には指定薬物の単純所持・使用にも罰則が設けられた。
●平成26年6月、東京・池袋で乱用者による自動車暴走死亡事故が発生。
●平成26年7月、国は『いわゆる「脱法ドラッグ」の乱用の根絶のための緊急対策』を策定。
●呼称を『危険ドラッグ』に改称。
●麻薬取締部では、関係機関と協力して販売店舗に対し指定薬物の疑いのある製品に対する検査命令及びこれに伴う販売等禁止命令を発動し、行政・司法の両名から徹底した取締を実施。
●最盛時に全国に215店舗存在した販売店舗は平成26年9月までに約70店舗まで激減。さらに、同年12月の検査命令により、販売店舗はほぼ壊滅状態になった。
●平成27年7月、麻薬取締部・警察合同による摘発で、危険ドラッグ販売店舗は国内において全滅した。
l暗躍する販売グループ
●危険ドラッグ販売は、インターネットやデリバリーに移行し継続している。
●指定薬物の規制について手続きが迅速化。新たな物質が現れても即座に指定薬物として規制することが可能となった。
●インターネット販売業者への取締を徹底した結果、廃業する業者も続出。
●残った業者は、危険ドラッグが「違法薬物」であることを前提として販売を継続していることから、顧客への販売方法は極めて巧妙化・潜在化し、巨大化・組織化されていると見られている。
●平成29年、国内で大型の危険ドラッグ製造工場の摘発が相次いだ。麻薬取締部では、川崎市内において危険ドラッグを製造・全国販売していたグループを摘発。拠点である製造工場からは30億円相当にのぼると見られる製品や原料を押収。押収資料から顧客は全国に5,000人以上存在するものと推測された。
●現在も、大規模グループが関東周辺において暗躍し、全国の顧客に危険ドラッグを販売していると見られる。