l大麻事犯の増加
●平成21年、当時の過去最高検挙者数3,087人を記録。以降、平成25年までは減少。
●平成26年、検挙者数が増加。平成29年、過去最高の3,218人を記録。
平成30年の統計は現時点で未確定だが、過去最高記録を塗り替える可能性がある。
●大麻事犯の特徴は他の薬物に比べ、検挙者に若年層の比率が高いこと。
●検挙者の4割強が20歳代以下の若年層。30歳代や40歳代にも乱用が拡大。
●検挙者内の再犯割合も10年前の約2倍の22.4%(平成28年)。
●大麻の栽培事犯が急増。栽培されていた大麻草の押収量は平成27年3,739本から平成28年は19,944本と急増。平成21年の大麻草押収量10,880本(当時過去最高)の約2倍。
●巧妙かつ大規模な室内栽培の摘発が全国各地で頻発。暴力団関係者の絡む大規模栽培事犯も頻発し、大麻が暴力団の資金源となっていることが窺える。
l新たな大麻
●近年不正栽培されている大麻草は、品種改良などにより含まれる幻覚成分THC(テトラヒドロカンナビノール)の含有量(重量中における濃度)が飛躍的に増加。1990年代頃の3~5倍強の12%~16%程度、20%に達するものも出現。
●大麻草からTHCを抽出・濃縮した大麻濃縮物の流通が顕著に。「ワックス(海外ではBHO〈ブタン・ハニー・オイル〉と呼ばれる)」「リキッド」「cO2oil」「ロジン」等と呼ばれ、THC濃度は30%~70%程度。90%程度に達するものも存在。
●大麻濃縮物は、主に電子パイプで使用し、大麻特有の臭いも少なく、見た目ではわからないため安易な乱用の拡大が懸念される。
●大麻濃縮物は、幻覚成分が極めて高濃度で少量でも作用が現れるため、乱用者の健康被害の虞も格段に高い。
●大麻乱用拡大の背景には、海外における大麻合法化の動き(一部の国や地域)がある。
●海外情勢や大麻に対する誤った情報がインターネットで拡散し、乱用拡大を助長している。大麻乱用拡大を防止するためには、科学的知見に基づいた大麻の有害性に関する正確な情報を発信していくことが最も重要である。
まとめ
暴力団などの薬物犯罪組織は、乱用薬物の依存性を利用し、確実にリピートされる商品として違法薬物を密売。その利益は新たな犯罪の資金源となるという悪循環を生んでいる。
乱用薬物は乱用者本人のみならず、その家族や周囲、ひいては社会全体に様々な問題を引き起こす。
乱用薬物の拡大を防ぎ、根絶するためには関係各機関の連携による取締りと、薬物乱用防止普及啓発に取り組んでいかなければならない。