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・・・・30年ぶりに日本に居を移して、時に依頼される講演の最後を私はたいていこう締めくくる。
日本の若者たちが薬物の乱用を始めないことが、地球の反対側で命を懸けて取締りにあたる人たちを救う道に繋がる第一歩なのだと。
そしてその時、私は嘗て国際オペレーションを開始した際、麻薬組織からの脅迫ゆえに身を隠さなければならなかったコロンビア政府担当者であった友人を思い起こしているのだ。
一世紀前に先人たちが築いた道筋を今、我々は見失ってはならない。

藤野 彰 (ふじの あきら)

1951年山口生まれ。1980年に国連に採用され国際麻薬戦線に携わる。国際麻薬統制委員愛(INCB)事務局次長、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)東アジア・太平洋地域センター代表、UNDC事務局長特別顧問など歴任。
現在は、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱湯防止センター理事、内閣府認証特定比営利活動法人 アジアケシ転作支援機構理事、イースタンネットワーク・オフィス フジノ代表を務める。

本企画は藤野氏の講演内容を再編集したものです。国際舞台を通じて長きにわたり世界の麻薬戦線に携わってきた体験から発せられる問いかけと力強いメッセージは、薬物乱用防止活動に係るすべての人たちに今何をなすべきかを気づかせ、その行動の背中を押してくれることでしょう。

 

●第1回:1909年 上海

1909年(明治42年)2月、列強諸国の租借する「租界」があった上海で、麻薬に関する世界で初めての政府間会議「万国阿片委員会」が開かれた。国際麻薬規制の始まりである。参加国はアメリカ、中国、フランス、ドイツ、イギリス、日本、オランダ、ポルトガル、ロシア、シャム、ペルシャ、オーストリア‐ハンガリー、イタリアの13か国。ここに今日に至る長く困難な道のりへの第1歩が踏み出されたのである。