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【国連麻薬委員会第67会期においてサイドイベントを開催】


Harnessing efforts to establish an informal international platform advocating for drug abuse prevention among young people



【開催概要】

 2024年3月19日、現地時間13時から13時50分(日本時間21時から21時50分)の時間、第67回国連麻薬委員会のサイド・イベントとして、Uganda Youth Development Link(NGO)と共に「若者の薬物乱用防止に焦点をあてた非公式な国際的プラットフォーム設立に向けて」と題するサイドイベントを開催しました。

前年の第66会期で、当財団による国連支援募金30周年を記念し日本が行ったサイドイベントに続き2回目であった。それをきっかけとして繋がりができた国際的NGO団体のうち、薬物乱用防止を主眼とし、わけても若者を対象とする啓発活動を行うウガンダのUganda Youth Development Link(UYDEL)と共に開催した。本年のサイドイベントの議長はUYDEL事務局長のロジャース・カシリエ博士が務めたが、同氏は若者を対象とした啓発活動に30年間携わっている。前年、当財団理事長は薬物乱用防止を軸とする“インフォーマルな国際プラットフォーム”を構築するとの提案を行った。そのフォローアップとして今回のサイドイベントを開催した。

会場となったM0E05会議室には国際麻薬統制委員会(INCB)委員長のジャラル・トゥフィク博士、マーク・コルフーンINCB事務局長、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)事務局を代表してジャン=リューク・ルマユー政策分析・広報局長、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課麻薬対策企画官の木村剛一郎氏が揃い、このほか会場内には薬物乱用問題に対処している世界中のNGO組織が参加し、立ち見が出るほどの盛況であった。



冒頭あいさつに立った公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター(DAPC)藤野理事長は、「本日のイベントは、ウガンダの青少年育成リンクのカシリエ博士をはじめとする、志を同じくする世界中の人々の協力により実現した。今日、多くの国々が薬物乱用の悪化に直面しており、そういった国々であればこそ乱用防止に焦点を当てることが急務である。私たちは、特に青少年を念頭においた薬物乱用防止のためのインフォーマルな国際プラットフォームを構築する第一歩を踏み出そうとしている。次のステップとして、志を同じくする団体からなる小規模なフォーラムから始め、世界各地でのプラットフォーム形成の“種を撒き”、薬物乱用防止活動の創造性を互いに育むことを目的としている。」と述べた。

これに応じて、カシリエ博士は、「提案されているプラットフォームは様々な組織によるベストプラクティスの共有を促進するものでなければならない。対面での交流と、現場の活動を直接見る機会が重要である。最近参加した国連とアフリカ連合の会議では、その地域のNGOが我々の経験を学びたいとの強い意欲を持っていることが分かった。このプラットフォームの実現により開発途上国は互いに多くのことを学び、自国の状況にとって重要な貴重な事例を共有することができるはずだ。」と述べた。



この後、トゥフィクINCB委員長は、「思春期は脳が十分に発達していない重要な時期であり、若者にとって薬物の影響が特に有害であることを示す科学的根拠を認めることが重要である。したがって、薬物乱用開始の予防に焦点を当て、タバコやアルコールを含むすべての物質を考慮した取り組みが必要である。エビデンスに基づく予防に焦点を当てた一貫性のある効果的な取り組みがなければ、世界的な違法薬物乱用とその懐疑的な影響の多くは国際社会による取り組みが不十分なままとなってしまう事から、是非このプラットフォームに期待したい。」と述べた。

続いてUNODCのルマーユー氏は、「まずDAPCの国連支援募金活動に謝意を表する。1993年以来DAPCとUNODCは若者の安全で健康的なライフスタイルを促進し、これまで655か国786の薬物乱用防止プロジェクトを支援してきた。例えば2020年だけを見ても、DAPCの助成金は12の低・中所得国で13のプロジェクトを支援し、2万3,000人以上の若者に恩恵をもたらした。青少年のエンパワーメントは、UNODCの2021年から2025年までの戦略の重要な柱となっている。UNODCは2022年に青少年のためのエンパワーメント・フレームワークを作り、私たちのすべての活動が青少年とともに、また青少年のために実施されるようにしている。そしてそれを支えるのがNGOの活動などである。それぞれの地域のNGOが連携し情報を共有できるためには、構築されようとしているプラットフォームが非常に重要であり、我々も期待している。」と述べた。



さらに厚生労働省の木村氏は、「日本では、覚醒剤、大麻、麻薬などの薬物乱用が深刻な社会問題となっている。これらの薬物への依存症は意志の力だけで薬物をやめることが極めて困難である。そのため、日本政府は、特に青少年が薬物に触れる前に、薬物乱用を防止するための啓発活動を行うことが重要であると考えている。日本は国内では薬物乱用防止国民運動を国際的には、DAPCが中心となって、開発途上国のプロジェクトや団体を支援するための国連への募金活動など、海外での薬物乱用防止活動を推進してきた。昨年の日本のハイレベル・サイドイベントでは、DAPCによる国連支援募金30周年を記念し、啓発活動における国際協力と協調の重要性を強調した。本日のイベントは、薬物乱用のない社会の実現に向けた国際的・地域的な協力の促進と拡大を目指すものであり、日本はこうした活動を引き続き支援していく。」と述べた。

この後会場参加者との討議が行われたが、依存症予防のための活動を行っているロータリークラブの代表は、「ウガンダでは4,5年前から依存症の予防を必要とする人々に関わる効果的な方法を模索し、青少年予防インフルエンサーと呼ばれる新しいプロジェクトを開発し、青少年が依存症の原則と予防についての研修を受けている。そしてこれらの青少年はロータリークラブやNGO、学術機関の支援を受けながら、地域社会で独自の予防活動を行っている。現在このプロジェクトはベルギー、ウガンダ、インドで試験的に実施されているが、今後はこのプラットフォームを活用して世界に普及させたい。」と述べ、スリランカのNGOは、「予防の取り組みにおいて、青少年の役割は非常に重要である。講義や大人主導の指導だけでなく」、青少年自身が薬物に関する理解を深め、薬物を使用しないという決意を固めることが重要である。我々の取り組みは教育だけでなく、青少年が十分な情報を得たうえで意思決定する力を与えられていると感じられるような環境を整えることである。そして青少年が予防に積極的な役割を果たせるよう力を与え、戦略の策定と実施に青少年を参加させることが重要である。今後もこの場で皆さんとこの重要な活動を共に続けていきたい。」と述べた。



このほかまだまだ討議は続きそうであったが、参加者の薬物乱用予防に対する強い思いが、時間の流れを加速させたのか1時間という時間はあっという間に過ぎ去り、本サイドイベント開催に向けてタイのドゥアン・ブラティーブ財団から寄せられたメッセージビデオを放映できぬまま終わりを迎えた。

なお、同ビデオについては麻薬・覚せい剤乱用防止センターホームページにて公開している。
【Duang Prateep Foundation】

また同時期に行われる世界の若者によって薬物使用防止と健康に関する議論が行われる「UNODC ユース フォーラム」において、昨年に引き続き日本からも2名の大学生が参加しました。
【ユース・フォーラム2024について】


Sixty-seventh session Vienna, Austria,14 - 22 March 2024 ※UNODC HPへリンクします

       
〇フライヤー(PDF)
  〇国連麻薬委員会とは ※詳しくはこちら(外務省HP) 


国連経済社会理事会の機能委員会の一つであり53か国のメンバー国により構成されている。機能は麻薬に関する諸条約の履行の監視、関連条約による麻薬等のの統制に関するあらゆる事項について国連経済社会理事会に助言すること、必要に応じて薬物統制を強化する目的の勧告及び条約案の作成を行う等、いわば麻薬等の統制に関する実質的な意思決定の中心機関である。 同委員会では、世界の薬物乱用状況の考察、それに対する世界行動計画の実施、国際条約の実施・改正等について協議、検討がなされてる。






※国連麻薬委員会第66会期サイド・イベント(2023年の模様)

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