慢性疾患を有すること、無職であること、学生であること、
COVID-19 に関連したSNSやニュースに頻繁にアクセスしていることなどが報告されています。(3)医薬品の乱用経験過去1年以内に医薬品の乱用経験(医療目的ではない使用方法)のある一般住民は、解熱鎮痛薬0・
57 %(約
51 万人)、精神安定薬0・
43 %(約
38 万人)、睡眠薬0・
09 %(約8万人)と推計されました(表1)。解熱鎮痛薬および睡眠薬の乱用経験率については、大麻などの違法薬物の使用率を大きく上回っています。また、男性に比べて女性の乱用経験率が高く、
15 ~
19 歳の若年者の乱用率が最も高いといった属性上の特徴もみられています。近年、依存症治療を行う精神科臨床において、処方薬や市販薬の乱用症例が増加していることが繰り返し報告されています。処方薬については、エチゾラム(デパス
® など)、フルニトラゼパム(サイレース
® など)、トリアゾラム(ハルシオン
® など)といったベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬や、非ベンゾジアゼピン系の睡眠導入薬であるゾルピデム(マイスリー
® など)の乱用症例が高頻度で報告されています。一方、市販薬としては、エスエスブロン錠
® 、新ブロン液エース
® などの鎮咳去痰薬、パブロンSゴールドW
® やパブロンゴールドA
® などの総合感冒薬、ナロンエース/ナロン*などの解熱鎮痛薬、ウット
® などの鎮静剤による乱用症例が高頻度で報告されています。現在、市販薬乱用への対策として、いくつかの成分を「濫用等のおそれのある医薬品」として指定し、販売規制(原則、薬効分類ごとに1人1包装単位で販売する)がかけられています。しかし、市販薬を販売する薬局やドラッグストアの数は多く、規制緩和の流れからインターネットでも購入が可能な状態となっています。こうした入手可能性の高さ
下限
lower
上限
upper
下限
lower
上限
upper
何れかの違法薬物(Any illicit drugs) 0.36 0.22 0.61 325,909 156,893 494,925
大麻(Marijuana) 0.14 0.06 0.36 128,304 10,846 245,763
有機溶剤(Inhalants) 0.04 - 0.18 38,069 - 92,998
覚醒剤(Methamphetamine) 0.06 - 0.19 51,392 - 112,285
MDMA(Ecstasy) 0.08 - 0.21 67,216 - 135,961
コカイン(Cocaine) 0.08 - 0.23 69,821 - 145,126
ヘロイン(Heroine) 0.10 0.04 0.23 89,459 13,617 165,300
危険ドラッグ(NPS) 0.09 - 0.26 77,522 - 161,615
LSD 0.08 - 0.26 70,611 - 155,103
何れかの医薬品乱用 (Any medication misuse) 0.94 0.65 1.35 837,831 537,870 1,137,792
解熱鎮痛薬(Painkillers) 0.57 0.37 0.89 513,050 292,251 733,849
精神安定薬(Tranquilizers) 0.43 0.24 0.78 384,037 157,190 610,883
睡眠薬(Sleeping pills) 0.09 - 0.27 77,595 - 166,206
何れかの薬物乱用( Any drug abuse) 1.27 0.94 1.73 1,139,676 799,109 1,480,244
使用率 (Total) 使用者数(Total)
点推定値
point
estimation
(%)
95%CI
点推定値
point
estimation
(人)
95%CI
出典:文献 1 から引用し、一部加筆・修正を加えた。過去 1 年使用率および使用者数の推計値を表記した。
「-」統計誤差内のため推計不能
表1 一般住民(15-64歳)における薬物使用率および使用者数の現状(2021年調査)
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