全体
1 ・
4 %と推計されました。これを一般人口に当てはめると、男性約108万人、女性約
20 万人、全体128万人に該当します。図1に、2007年から2021年までの大麻の生涯経験率の推移をまとめました。生涯経験率については、2019年から2021年にかけて若干減少していますが、大きな時間の流れで捉えれば増加傾向にあると言えます。とはいえ、大麻の生涯経験率というのは、これまでの人生において一度でも大麻を使ったことがある人が占める割合のことです。したがって、過去の使用経験も含まれますので、必ずしも現在の流行状況を反映した指標とは言えません。(2)過去1年経験大麻の現在の流行状況を評価する指標としては、直近の経験を示す過去1年経験率の方がふさわしいと言えます。大麻の過去1年経験率は、男性0・
24 %、女性0・
06 %、全体0・
14 %と推計されました。この数字だけみると、大麻を使っている人はかなり少ないように感じると思いますが、これを一般人口に当てはめると、全国で約
13 万人が過去1年以内に大麻を経験したことになります。図2に、2007年から2021年までの経年変化をまとめました。ご覧の通り、大麻の過去1年経験率は、2013年以降増加傾向にあります。因果関係は不明ですが、これは危険ドラッグ問題が終息した時期とほぼ同じ時期に該当します。合成カンナビノイド等の危険ドラッグの使用者の一部が、大麻に移行した可能性も考えられます。なお、2019年調査では、大麻使用者は約9万人と推計されていますので、2019年から2021年にかけてのコロナ禍に大麻使用者が約4万人増加したことになります。緊急事態宣言下において様々な行動制限がかけられていたにも関わらず、大麻使用者は減っておらず、むしろ増加している可能性を示唆する結果と言えるでしょう。SNSやアプリを通じた売買が中心となっている大麻は、コロナ禍による行動制限の影響を受けにくいのかもしれません。一方、アルコールの使用率については、2019年から2021年にかけて大幅な減少がみられており、これはまん延防止措置などによる飲食店の営業時間の短縮などが背景にあると考えられます。(3)大麻使用に誘われた経験違法薬物の自己使用については、「知られたくない」「正直に答えにくい」といった回答バイアスが生じるおそれがあります。そこで本調査では、自己使用経験に比べて回答バイアスが生じにくい指標として、薬物使用に誘われた経験(生涯経験・過去1年経験)についても調べています。図1,2に示したように、大麻使用に誘われた経験は、自己使用経験を大きく上回っており、かつ増加傾向にあると言えます。2021年調査において、大麻使用に誘われた経験(生涯経験)は3・0%であり、一般人口の約
33 人に1人の割合に該当します。これは、私たちの生活に大麻がより身近に迫っていることを示すデータと言えるでしょう。
0.8%
1.4%
1.2%
1.1%
1.0%
1.4%
1.8%
1.4%
1.8%
2.8%
2.0%
2.7%
2.0%
2.9%
3.4%
3.0%
0.0%
0.5%
1.0%
1.5%
2.0%
2.5%
3.0%
3.5%
4.0%
2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021
使用経験率(生涯) 誘われ経験率(生涯)
図 1 一般住民(15-64歳)における大麻の生涯経験率の推移
(2007-2021 年)
0.06%
0.01%
0.05%
0.00%
0.04%
0.10%
0.10%
0.14%
0.16%
0.10%
0.06%
0.21%
0.02%
0.20%
0.27%
0.21%
0.00%
0.05%
0.10%
0.15%
0.20%
0.25%
0.30%
2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021
使用経験率(過去1年) 誘われ経験率(過去1年)
図 2 一般住民(15-64 歳)における大麻の過去 1 年経験率の推移
(2007-2021 年)
3
かいせつ●
コロナ禍における薬物使用の動向: