-コフィー・アナン国連事務総長の閉会の辞-

はじめに:
今次特別総会の閉幕は、国際薬物統制における新たな1ページを意味します。私達は今週、世界にむけて希望のメッセージを発信しました。各国が責任を擦り付け合う時代は終わったのです。私達は、新たな「麻薬戦争」を始めようとしている訳ではありません。実際、これまでもそのようなものは存在しませんでした。むしろ国際社会は、死に至る病に直面する医者のような存在といえましょう。薬物は現に人々を殺しているのですから、私達の責任はその治療法を見つけることにあります。政治宣言と行動計画の採択により、薬物のない世界はまた一歩近づいていたと言えます。

本当の作業はこれから:
皆さんは、ニューヨークでの成果を誇ってしかるべきではありますが、本当の作業はこれからです。国際社会は、この成就の精神を以て、2003年および2008年までにあらゆる不正薬物の消費と生産を一層あるいは大幅削減しなければなりません。そして、あらゆるマネー・ローンダリングおよび薬物密売人の試みを頓挫させねばなりません。

特別総会を単に一つの外交行事と評する向きもあります。私達はこの見方が間違いであることを証明しなければなりません。私達の作業を会議室の一片の紙切れで終わらせてはなりません。ここで自己満足して他の問題に目を移すことなど出来ないのです。改善の余地は常にあります。いつでもできることはあるはずです。そのためには、どのように薬物のない世界を実現できるかに関する建設的な批評に耳を傾けなければなりません。常に正しい人など存在しないからです。

前進を続けられるかは、これらの計画を自らのものとする皆さんのコミットメントと具体的な成果の希求にかかっています。約束を実際の行動と成果に変えていかなくてはなりません。世界中が私達を見守っています。私達が事態を見守っていたのではどうにもなりません。成功か失敗かは、賢明な努力の結果はじめて分かることです。しかし諦めは禁物です。私達は、環境、女性問題、人口および社会開発に関するその他重要な国連会議の前例を踏まえた上で、目的意識と行動意識をもって前進しなければなりません。薬物統制問題も、これらの問題と肩をならべる世界的な最優先課題となっているからです。

このことは、国際協力の枠組みと国連憲章に具現化された主権尊重を常に想起しながら、政治的な弾みを利用していくことを意味します。人権のための寛容と連帯の理念は貴重なものであり、私達はこれを守るべく警戒を続けなければなりません。私達は、いかなる活動においても、このことを念頭においていく所存です。薬物使用も一種の人権だという主張は、中毒による破壊から人間の命を守る価値などないといっているも同然であり、そもそも不道徳な考え方であると言えます。

国際的なレベルで国連薬物統制計画(UNDCP)は、あらゆる面において、各国政府および非政府機関による目標の達成とより市民的な社会に向けた作業を援助していく所存です。

実際の行動と実質的かつ具体的な成果の確保に必要な資源によって、薬物のない世界を目指した私達のコミットメントを実現するよう、決意を持って前進していこうではありませんか。私達は共に働くことによってこの課題を克服できるのです。さあ、作業に取りかかりましょう。ご静聴ありがとうございました。

(このメッセージは、ピノ・アルラッキ国連事務次長が代読した)