[ 我が国における薬物乱用の状況 ]

現在の我が国における主要な薬物問題は、覚せい剤の乱用である。第一次の覚せい剤乱用期が10年を経ずして鎮静したのに対し、現在の覚せい剤乱用は、昭和45年以降増加傾向を示し、以後20余年にも及んでおり、近年も毎年の検挙者は高水準で推移している。

 覚せい剤乱用防止対策については、昭和45年以降種々の対策が講じられているところであり、昭和48年には覚せい剤取締法の改正による罰則の強化、覚せい剤原料の規制強化等が図られたのをはじめ、政府の薬物乱用対策推進本部を中心とした関係機関の諸対策、また、昭和54年には覚せい剤乱用防止推進員制度の発足、さらに昭和57年には覚せい剤の乱用に用いられる注射器の販売自粛等事犯の取り締まり強化及び啓発活動等の諸対策が積極的に推進されてきている。

 しかし、こうした努力にもかかわらず事犯は未だ顕著な減少傾向をみせていない。このように覚せい剤乱用が根強く存在しているのは、

1-覚せい剤の取引によって生ずる利益が莫大であるため、密輸入から末端密売に至るまで暴力団が組織力を背景に全面的に支配し、供給を保っていること、
2-覚せい剤の殆どが海外からの密輸入品であるため、その供給ルートの根絶が困難であり、かつ、密輸方法が複雑・巧妙化していること、
3-覚せい剤の薬理作用は精神的依存性が極めて強く、ひとたび乱用を始めると中止することが困難であること、
4-覚せい剤の乱用による弊害が十分に認識されておらず、安易な好奇心から乱用する風潮がみられること、
5-覚せい剤の乱用を許さない規範意識が十分とはいえないこと等の原因が考えられる。

 平成16年における覚せい剤事犯での検挙者は12,397人、押収量は約411kgであり、前年に比べ、検挙者数は減少したものの、依然として相当量の押収がある。

 覚せい剤事犯については、検挙人員は減少しているものの、密輸入事件が急増し、依然として相当量の押収があるなど、根強い需要が認められる。

 また、平成16年における麻薬事犯については、MDMA等錠剤型合成麻薬事犯は検挙人員、押収量(約47万錠)ともに過去最高となり、また、大麻事犯については、検挙人員は過去最高となり、押収量も、大麻樹脂が過去最高、乾燥大麻は過去2番目となっている。ともに検挙者の約9割が初犯で、特に20歳代を中心として若年層への乱用の拡大が顕著となっており、憂慮すべき状況にある。