[ 薬物乱用と家族の対応 ]

■薬物乱用をやめさせるには(家族の対応の原則)

[薬物乱用の早期発見]
普段の心がけとして、親子、教師と生徒、家庭と学校の日常的なコミュニケーションを保つようにします。子どもを決して放任せず、言動や交友関係などをよく観察し、子供のつく小さな嘘にごまかされないことが薬物乱用の早期発見につながります。親や教師が、タバコ、アルコール、シンナーなど薬物に対して、道徳的のみならず、健康問題としての見識をもつことも必要です。

[みんなの問題として対処する]
家庭では本人と母親の問題とせず、家族全体の問題としてとらえ、孤立化することを避け、全員が集まり話し合う必要があります。学校でも、学級や学年、学校全体の問題としてとらえ、関係者がそれぞれの立場で責任を果たすよう心がけることが必要です。グループでの吸引・摂取の場合は、本人の動向に注意しながら、親同士、学校との連絡を密にして対応します。

[薬物を入手するための行動に対して]
家族が歩調を合わせ、薬物を入手するために見せる甘え、嘘、暴力にのせられないようにします。薬物を購入する資金に困って万引きするなど、新たな非行に発展することを恐れて小遣いを与えたり、友人への借金の肩代わりをすることは、薬物の摂取を継続させることになるのでやめます。薬物を摂取して引き起こした不始末に対しては、年齢相応の責任を取らせるように心がけます。

[信頼関係を保つ]
相互の信頼関係を崩さないように心がけ、話し合いの中で言ったことは実行し、できないことは言わないようにします。「今度薬をやったら親子の縁を切る」とか「家を出てもらう」などは禁句。本人は、それをもとに周囲の者に責任を転嫁しながら、行動に移し、かえって薬物への依存傾向を深めさせる結果となることが多いのです。

[上下の関係を離れ、横の関係になる]
児童・思春期の子どもに対しては、「子どものためを思っている」という上下の関係を離れることが重要です。たとえば、不適切な行為に対して、「あなたはこうすべきだ」と上から命令するのではなく「私はこうしてほしいのだけど」と横から提案します。適切な行為に対しても、「えらいね」と上からほめるのではなく、「私はとても助かるわ」と横から感謝することが大切です。

[性急に解決を図ろうとしない]
多様な価値観を許容し、愛情をもって若者のもつ旺盛な回復力、成長力に期待します。人間的に成長させ、社会に適応させることを目標に、親や教師、相談機関や治療機関などの職員が本人とともに地道に努力する必要があります。異端分子として学校や地域から安易に排除したり、強制的に入院させたりするなど、本人の自尊心を無視するような対応はすべきではありません。

[家族が取るべき行動の柱]
以上のように、家族が本人だけを責めたり諦めたりせずに、回復を信じて行動し続けることが薬物乱用者の回復を最も助けることになります。そのためにも、安心して話し合え、支え合える家族関係が必要です。何よりもまず、問題に気づいたらすぐに専門の相談機関を訪れる勇気をもち、できる限り早く対応を検討しましょう。

[カウンセリングを通して]
麻薬取締部や都道府県警察本部等の相談窓口に電話等で相談し、カウンセリングの受けられる専門機関等の紹介を受けるとよいでしょう。カウンセリングを通して、それまでの自分たちの行動が本人の行動に振り回され、よかれと思ったことの中に多くの誤りがあり逆に本人の問題行動を続けさせるものであったことを認め、できる限り早く自分たちの態度、行動を変化させることが大切です。